私の叔母は、通っていた大病院の外来で、「癌が再発して治療不能です。今後はこの病院に来る必要はありません。どこか近くの病院で診てもらってはどうですか」と告げられ、途方にくれました。
 どんどん新たな患者が紹介されてきて、末期癌患者を診る余裕がないことは分かっています。
 国立病院の決して高くない報酬で、日々忙しく診療されていることには頭が下がる思いです。
 しかし、告知後のケア体制が全くできていない状態で100%告知を進めれば、患者・家族そして一般病院医師に多大な迷惑をかけていることも事実です。
 叔母は地元の病院で診てもらっていますが、その病院の先生の中には、「告知するだけしておいて放り出すのはひどい」と元の大病院への憤りを表す方もあります。
 わたしの経験では、癌の告知に際して、男性よりも女性の方が精神的落ち込みが大きいように思われます。
 女性に告知する場合は特に慎重さが必要でしょう。

 癌の告知を含め、医療を米国のようにすべきだと米国礼賛の医師もありますが、国民性の違いを考えれば、私は賛成しかねます。
 日本人には日本人にあった医療があってしかるべきと思います。

(補足)叔母は、2001年4月、肺癌のため地元の病院で死去致しました。